免疫力を上げる三種の神器~心~(4)

アプローチはどこからでもOK!
心身増強のポイントは3つ、心・腸・血をケアして免疫力を活性

免疫の三本柱。一番気になるところはどこ? 「不調の場所から」「実践できるところから」。始める順序にルールはナシ。何か一つ始めたら、相乗効果で免疫は確実に高まっていく!

心~過剰なストレスは免疫力低下の原因

心が落ち込むと、身体も重く感じる。体調を崩すと、心も晴れない気がする……。「病は気から」というように、身体が健康であることと、心のコンディションは密接な関係があり、「心と免疫力」も無関係ではないようだ。

「あなたは健康ですか? ならば幸せですか?」
YESと即答できないあなたは、もしかしたら心の免疫力が低くなっているかも。ガン宣告を受けても、生命を永らえる毎日に感謝しながら、幸せを感じて生きる人もいる。

病をきっかけにこれまでの考え方・生き方を変えることで、余命数カ月の末期から生還した例はいくつもある。心が変わることで免疫力が上がり、病が治ったという最たる見本だ。

確かにストレスがない状態であれば、心が身体に与える悪影響は防げるかもしれない。けれども、現代社会で生きる上で、怒り、悲しみ、恐怖、不安など、ストレスなく生活することは不可能に近い。過度のストレスが継続すると、脳は常に緊張状態になってしまうが、同じ出来事が起こっても、それが強いストレスになる人もいれば、そうではない人がいるのも事実。

ならば、出来事に対して感情に支配されず、揺れない心を得るにはどうしたら良いのか。自分の心と向き合い、内面から免疫力を高める方法をご紹介。

ストレスに克つ心の免疫力Q&A

免疫力低下の原因の一つには「ストレス」が挙げられる。
けれどもストレスを避けて生きることは不可能に等しい現代社会。
落ち込み、イライラ、不安、プレッシャー……。心と脳が感じる
これらの出来事に振り回されない“免疫力”の高め方をご紹介。

~回答者~
横倉クリニック
院長 横倉恒雄先生
医学博士。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。著書に『病気が治る「脳」の健康法』など。
http://www.yokokura-clinic.com/

阿部メディカル クリニック院長
阿部 聡先生
医学博士、脳神経外科専門医、臨床心理士。東京慈恵会医科大学卒。著書に『いきいき脳力活性体操』ほか
http://amc.ms/

禎心会病院 脳疾患研究所所長
上山博康先生
日本脳神経外科学会専門医として、年間500~600例の手術を実施。「上山博康脳神経外科塾」の総帥。
http://www.teishinkai.jp/

工学博士
大前 巌先生
大阪大学大学院卒。自身の病の経験から、病の真の原因を解明する研究を行う。著書に『ガン患者に学ぶ病気が自然に消える6つの実践』

《Q:心の在り方で、身体の免疫力は上がるのでしょうか?》
Advice
すべてを受け入れ、心を自立させて生きることが第一歩
(阿部 聡先生)
前向きな考え方をすると免疫力が強くなるとか、後ろ向きだから弱いとか、それはまやかし。癌でも幸せを感じて生きる人はいますよね。物事すべては受け入れざるを得ない問題として存在するだけ。喜びも悲しみも両方を受け取ることが、免疫力を上げることにつながります。精神的に自立して生き抜くことが必要です。

Advice
免疫力の6割は腸に! 心の元気は腸の元気につながります
(横倉恒雄先生)
結論から言うと上がります。身体の免疫力の6割を司るのは腸で、脳と深い関係があります。ストレスに対する緊張がエスカレートすると、本能を司る大脳辺縁系が不快を感じ、過食・偏食などの食行動異常や、慢性疲労などの自律神経失調の症状が現れ、免疫系や腸などの消化器系にまで影響を及ぼします。つまり、心の元気は腸の元気と免疫力アップにつながるのです。

Advice
癌から奇跡の生還をする例はたくさんあります
(大前 巌先生)
心の良い変化によって癌の自然退縮が起こる人に共通するのは、恐怖を克服し、残された生涯を感謝しながら生きる姿勢。「不安」「気がかり」などストレスレベルの低い問題の積み重ねが、大きな不安となって病気につながります。生きがい療法、挑戦療法、趣味療法、信仰、奉仕活動によって改善する傾向があります。

《Q:ストレスにも良い・悪いの種類があるのでしょうか?》
Advice
良いストレスはエネルギーになります
(横倉恒雄先生)
人間にはもともと、ストレスなど心身を攻撃するものに対して強い防御機能が備わっています。脳に余裕があれば、入ってきたストレスは良いストレス=「快」として感じられ、目標に向かって頑張ろうというエネルギーになります。

しかし脳に余裕がなく、防御反応を司る脳がオーバーワークになってしまうと、悪いストレス=「不快」と感じ、イライラしたり、さまざまな不調の症状が出てきます。特にストレスを大きく感じたり長期間続いたりする場合には、肥満・無排卵症・無月経症・慢性疲労・うつなどを引き起こすこともあります。

これらは過剰なストレスに対して脳が反応した結果で、身体が警告反応を起こしているのです。そのような状態までいかないよう、日頃から脳に“快”を与えながら心身をリラックスできる時間を持つように心がけましょう。

《Q:ささいなことで心が揺れてしまうその原因とは?》
Advice
本能が不快を感じると脳が疲弊し、心が不調に
(横倉恒雄先生)
脳が疲弊していくと、心身ともに不調を感じるようになります。「今日、外を歩いてきた時、風はどちらから吹いていましたか?」「雲の流れはどうでしたか?」「街路樹の色はどんな色でしたか?」「街は、どんな匂いがしましたか?」……これらは私が患者さんに伺っている質問です。

ストレスの強い方は「特に何も感じない」と答えます。忙しい生活のなかで、理性に押し込められ続けると本能が不快を感じるため、脳が疲弊し、五感が閉ざされていきます。

Advice
脳に余裕があるかどうかでストレスの耐性が変わります
(横倉恒雄先生)
ストレスに強いか弱いかを「性格の違い」ととらえる方がいますが、実は脳の大脳新皮質に余裕があるかないかで決まります。脳は心身の司令塔。脳にゆとりがある『健幸脳』の状態であれば、ある程度のストレスが入ってきても平気ですが、過剰な情報やストレスにより脳に余裕がない『疲弊脳』の状態では、小さなストレスも大きな問題のように受け止めてしまいます。脳本来の『健幸脳』を保つためには、『疲弊脳』の時には感じにくい“五感”を、日常生活のなかで常に意識するように心掛けることが大切です。脳が気持ち良く感じる“快”の瞬間を増やしていくことで、本能を司る脳に伝わって、心も身体も自然に元気になってきます。

たとえば朝5分早く家を出て、駅までの道で空を見上げたり風を感じたり、鳥の鳴き声を聞きながら軒先に咲く花の香りを嗅いでみたりしましょう。五感を養いながら、自分の幸せを優先して過ごしていれば、免疫力の高い身体と心が手に入ります。

健幸脳には余裕があるので元気プログラムが作動
正常な五感・ホルモン・精神活動 健康な日常生活 健康体

疲弊脳には余裕がないので疲弊プログラムが作動
過食・日常生活・精神のゆがみ 五感・ホルモン・精神活動障害・自立神経失調→ 肥満・生活習慣病・精神的障害など

《Q:脳がストレスを感じた時どう反応するの?》
Advice
ストレスが持続すると脳も身体もボロボロに
(上山博康先生)

ストレスの対応をするためには、交感神経が優位となり、血圧上昇、末梢血管収縮、発汗抑制など非常事態に対応する状況となります。逆にストレスがない状態では、副交感神経が優位となり、リラックスした状態となりバランスをとっています。

ストレスが持続すると、アクセル全開で走る車と同様に、脳や身体のあちこちが悲鳴をあげることとなります。脳と胃腸は綿密な関連があることは周知の事実ですが、まず胃腸の不調が生じます。胃腸は免疫の最大の臓器ですので、長期のストレス持続は、免疫低下につながることとなります。

 

(TRINITY45号より)