免疫力を上げる三種の神器(2)

病気に負けない身体の源~
免疫なくして命ここにあらず!
免疫は生命力なのです

体内の異常細胞を常に退治するNK細胞は自己努力で活性可能!

人間にとってもっとも大切なのが、脳・神経系、ホルモンなどの内分泌系、そして免疫です」と奥村先生。会社にたとえれば、これらは取締役会だと言う。

「会社の中枢を担っていて、取締役がどうしようもないと会社は立ち行きませんよね。脳・神経、内分泌、免疫も同じで生命活動の中枢を担っています

なかでも免疫は、さまざまなウイルスや細菌がうごめくこの環境のなかで私たちが生きるために欠かせないもの。

免疫というのはとてもよくできていて、人間の寿命が100歳、200歳になったところで、その本質は変わらない。ですから、100歳の方にインフルエンザワクチンを打っても効く。これらがリンパ球の8~9割をしめるT細胞、B細胞の働き。私は“軍隊細胞”と呼んでいますが、生活習慣や心の影響を受けないよう訓練されている。発熱は顆粒球やこの軍隊が発動している時に起こります」

そして、リンパ球の残り2割が、ガン細胞を攻撃することで昨今注目されているNK細胞。「“軍隊細胞”に対して、NK細胞は“おまわりさん細胞”。外敵のウイルスにも対処しますが、街の治安(体内で起きるトラブル)を守るのが一番の役目。突然異変を起こしたガン細胞を攻撃・破壊して増殖しないようにします。ガンを唯一予防できる大事な免疫なのですが、年齢の影響、それから不規則な生活、ストレスなどの影響を非常に受けるのが弱点です」

軍隊細胞は私たちが生きている間、非常時には常に100%のポテンシャルを発揮する。万一、負けることがあるとしたら、それは死に至る時。一方で、NK細胞は私たちのライフスタイル、年齢の影響を多分に受ける。「NK細胞が低くて長生きしている人はいませんし、NK細胞が活性していればまずガンにはなりません」。自己努力次第で唯一高めていけるNK細胞をいかに上げていくことができるか。それで私たちの寿命や健康状態が決まるのだ。

Q1 激しい運動、プレッシャーの多いアスリートも免疫力低下が悩み!?
アスリートへのアンケートで出た意外な結果。日頃から健康管理はしっかり行っているスポーツ選手でさえ、半数以上が免疫力の低下を感じている!
(味の素/JOC調べ 2012年3月実施)

ときどきある/46.4%
あまりない/45.5%
よくある/8.2%

Q.2 免疫力が下がったと感じるきっかけはどのようなとき?
『だるくなる』『やる気が落ちる』『集中力が続かない』などが多い。アスリートたちは日々身体を酷使し、精神的にもプレッシャーの多い毎日。身体能力は高まっても、免疫力が非常に落ちやすい環境にあると言える。それすら楽しめるかが大事
(味の素/JOC調べ 2012年3月実施)

だるくなる/71.7%
やる気が落ちる/43.3%
集中力が続かない/38.3%
ヘルペスができる/33.3%
筋肉や関節が痛くなる/28.3%
頭痛がする/26.7%
食欲が落ちる/25%
朝、起きられなくなる/21.7%
熱がでる/20%
体重が落ちる/8.3%
怪我の治りが遅い/8.3%


順天堂大学医学部名誉教授

奥村康先生

サプレッサーT細胞の発見者であり、ベルツ賞、高松宮賞などを受賞。免疫学の国際的権威。「R1乳酸菌」ブームの火付け役でもある。

(TRINITY45号より)