指の荒れやすさで五臓六腑の不調が容易にわかる!~手荒れと五臓六腑の不思議な関係~

乾燥する時期になると多くなる手荒れ…。

実は、荒れる指によって身体の内側を観察することができるのです!

東洋医学では、身体の中を「気」がめぐり、「気」は「経絡」という道に沿って流れていると考えられています。

この「経絡」、手の指にも流れています。

そして、指の先にある「井穴(せいけつ)」というツボがあるのですが、このツボには身体の内側、五臓六腑の反応が現れると東洋医学は考えているのです。

◎手荒れもツボの反応の一つ!

荒れやすい指は、大体いつも同じではありませんか?

手が荒れるという背景には、五臓六腑の気の流れが滞っている可能性があるのです。

そこで、どの指がどの五臓六腑につながっているのかを観察しましょう!

荒れた指を観察することによって、目には見えない身体の内側の状態を探ってみてください!

◎親指

親指には「手の太陰肺経」が流れています。ツボの名前は「少商(しょうしょう)」といいます。

この指が荒れやすい方、もしかして乾燥する時期に咳が出やすくありませんか?

親指が荒れやすい方は、肺に症状が出やすい体質なのかもしれません。

乾燥すると鼻の粘膜が傷つきやすかったり、風邪を引きやすくなっているかもしれません。

暖房がかかっている、乾燥する部屋にいる時間が長い方は加湿器などを使ってあげると改善できるかもしれません。

◎人差し指

人差し指には「手の陽明大腸経」という経絡が通り、大腸と関係が深いです。ツボの名前は「商陽(しょうよう)」と言います。

人差し指が荒れやすい方という方、便秘をしやすかったり、また下痢をしやすかったり、大腸の症状はありませんか?

食べ過ぎが続くと大腸に熱がこもり、その影響が人差し指に出ているのかもしれません。

思い当たることがあるのなら、食べ過ぎ、飲み過ぎに注意。食べ過ぎや飲み過ぎが肌荒れに化けやすいかもしれません。

◎中指

中指には「手の厥陰(けついん)心包経」と言う経絡が通っています。ツボの名前は「中衝(ちゅうしょう)」と言います。

心包とは、心臓を包む膜のようなものという解釈が一般的です。

手荒れに加え、胸が苦しくなったり、胸が痛くなったり、また手の真ん中が火照るという症状がある場合、心包になんらかのトラブルがある可能性があります。

電車に乗り遅れそうになって走るよりは、次の電車を待つくらい心に余裕を持って生活するように心がけてください。

◎薬指

中指には「手の少陽三焦(さんしょう)経」という経絡が通っています。ツボの名前は「関衝(かんしょう)」と言います。

「三焦と言っても思い当たる臓器がない!」とおっしゃる方も多いと思いますが、この三焦とは東洋医学独特の概念なのです。

三焦をリンパ系とする考え方もあるのですが、身体を上焦、中焦、下焦と三つ部分に分けた総称が「三焦」。つまり、上から下までの気の巡りを調節するものと考えてください。

この三焦経、身体全身の気を調節するので、手荒れがあると症状が複雑に絡んでいる場合もあります。

手荒れに加え、身体のむくみや、身体全身が重だるい、やる気が出ないなどの症状がある場合も注意が必要。

散歩などの軽い運動をして、身体の内側の流れを整える週間をつけると改善しやすいです。

◎小指の親指側

小指には親指側と外側に二つの経絡が流れています。

親指側は「手の少陰心経」という経絡が流れています。ツボの名前は「少衝(しょうしょう)」と言います。

心経は心臓を巡る経絡なのですが、ストレスが長期化するとこの経絡に反応が出てきやすいのが特徴です。

主な症状は精神的に動揺しやすい、心が落ち着かないなどの症状。全身の血行が悪くても反応が出やすいツボです。

このツボが荒れやすい場合、ストレス発散を心がけ、内側にたまった感情などをデトックスするように心がけることが大切です。

◎小指の外側

外側に流れている経絡は「手の太陽小腸経」と言って、ツボの名前は「少沢」です。

小腸経は肩甲骨、肩こりなどの反応が出やすい経絡で、この指が荒れやすい方は肩こりや、肩甲骨周りのこりがきつく出やすい人に多いのが特徴です。

手荒れがきつい場合、小指の根本から指先にかけて、指を転がすようにマッサージすると、肩こりの改善になるかもしれません。

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…自分の指を観察してみていかがでしたか?荒れた指と、指に流れている経絡の症状が、自分の身体に出ている症状と一致するものはありましたか?

ツボの反応は絶対ではありません。身体の内側を知るための目安としてください。

手全体が荒れやすいという方は、特にどの指が荒れやすいのかを観察するといいと思います。

いつも荒れやすい指には、なんらかの理由があると思われます。

まだひどい症状は出ていないにせよ、毎回荒れる指が決まっているという方は、少し注意しながら生活してみてください。

何気ないことなのですが、身体に起こる「なぜ?」に注意を向けることが大切です。

身体に起こる症状は、言葉を言えない身体が発するサインです!

小さな事に気づくことから、自分の身体を知ることが未来の健康を作るのです!

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三上 創(みかみはじめ)
おおくにたま鍼灸院院長
https://www.facebook.com/ookunitamasinkyu

国家資格: はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師

実家が鍼灸院ということもあり、赤ちゃんの頃から、西洋医学にかかることなく、鍼やお灸で身体を整えることが当たり前の生活を送る。

国家資格取得後、奈良県にて藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を送る。

現在、東京都府中市にて「おおくにたま鍼灸院」を開業。「健康の自給自足」をスローガンに、通い続けて健康になる鍼灸院ではなく、自分の健康を自分で創る方法を指導する鍼灸院を運営する。