胃を酷使していませんか?胃が健康だとすべてがうまくいく-5

日本人の60パーセントがサイレントな慢性胃炎を持っている!

現代女性の胃の病気~3つの原因と解決法

食生活の欧米化、人間関係のストレ、不規則なシフト勤務などで、胃の不調を訴える現代女性が増えている。病気の犯人は「胃酸」と「ピロリ菌」だ。

2 放置しておくと全身の病気を引き起こす慢性胃炎

慢性胃炎は、胃の粘膜に白血球が集まって慢性的な炎症を起こしている状態をいう。炎症が続いて胃粘膜の障害が進むと、胃酸を出す胃腺が萎縮し、胃の粘膜は血管が浮き上がるほど薄くなってしまう(萎縮性胃炎)。この萎縮性胃炎のほとんどが、ピロリ菌によって引き起こされている。幼少期にピロリ菌に感染した胃は30歳ぐらいから萎縮性胃炎に進行し、それが胃がんにつながることもある。また、鳥の毛をむしったあとのように胃壁がブツブツになる「鳥肌胃炎」は女性に多い疾患で、この状態はスキルス胃がん(胃粘膜の下をはうように広がるがん)のリスクが高いと言われている。

主な症状
常に胃に不快感がある、胃もたれ、食後の腹痛、食欲不振、胸やけ、吐き気など。ほとんど自覚症状のない場合もある。

原因
ピロリ菌の感染、過度の喫煙や暴飲暴食、薬剤などで胃の粘膜を傷つける。

治療法
胃の炎症を取る第一歩がピロリ菌除菌だ(詳しくはP65参照)。それでもよくならない場合は、機能性胃腸症ということで、それぞれに対処する。なお、ブロッコリーは胃炎を改善し、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)がピロリ菌胃炎を改善する。ピロリ菌に感染している人が塩分を摂りすぎると、胃がんの発生率が3倍になるので要注意。

胃の検査は、鼻から入れる胃カメラ(経鼻内視鏡)が主流になりつつある。従来の口から入れる内視鏡に対し、鼻から入れる場合は内視鏡が舌の根元に触れないので、吐き気や痛みを感じず、検査中に医師と話もできる。

経鼻内視鏡

正常胃

内視鏡で見た正常な胃の画像。きれいなピンク色で表面は十分な粘液で満たされ、つやがある。

慢性胃炎(萎縮性胃炎)

ピロリ菌感染により、萎縮が広がった状態。最近は30代でも(早ければ中高生にも!)見られる。

慢性胃炎(鳥肌胃炎)

ピロリ菌に対するリンパ組織の過剰反応で女性に多い。鳥肌のような粘膜がはっきり確認できる。

胃薬
【ピロリ菌を除染する薬】「ランサップ」(1回目)、「ランピオン」(2回目)

【胃酸を抑える薬】H2ブロッカー(「ガスター10」、「アシノンZ」、「アルタットA」、PPI(「パリエット」、「タケプロン」、「オメプラール」、「ネキシウム」)

胃の痛みは誤診が多いので要注意!

胃の周りには肝臓、胆管、十二指腸、膵臓などが密接しており、膵臓がん、膵炎、胆石などの痛みが胃炎やa胃潰瘍と間違われることも多い。たとえば、虫垂炎(盲腸)の初期はみぞおちが痛むので、8割が胃炎と誤診され、痛みが右下腹部に移ってきて虫垂炎だと判断できる。また、食後に胃が痛む場合は胃潰瘍、空腹時に痛むのは十二指腸潰瘍のことが多い。誤診を避けるには、痛みの場所、痛み方、程度、時間、経過など、医師に症状を簡潔に伝えることが大切。

(TRINITY48号より)