免疫力を上げる三種の神器(3)

白血球のなかにある免疫細胞
免疫はこうして働く

免疫細胞一つひとつに役割があり、身体は複雑なシステムで守られている。

血液は白血球、赤血球、血小板からなるが、今回は免疫にかかわる白血球について解説する。

<白血球の種類>
マイクロファージ(白血球内の5%)
元祖白血球。異物が入るとそれを食べて無毒化する働きを担う。このマクロファージがさらに進化してできたのが顆粒球とリンパ球であり、それらのコントロールタワーとしての働きを持つ。

監視役の顆粒球 (同60%)

異物を食べる能力がマクロファージより高く、細菌などを処理する。ただし、異物処理班は自爆して活性酸素を放出し、内臓や血管を傷つける。患部に化膿性の炎症を起こし、その残骸が膿となる。

●好中球(顆粒球内の95%)
常に血流にのって外敵が侵略しないかを監視している。異物を見つけたら即座に血管から這い出して、異物の取り込み処理を行う特攻部隊。

●好酸球(同4%ほど)
感染アレルギーで活性化する顆粒球。特に花粉症や、アトピーなどに関わるI型アレルギーの際にヒスタミンを不活性化する働きを持つ。

●好塩基球(同1%以下)
炎症に関する刺激物質を分泌する。慢性アレルギー疾患の引き金になるとも言われている。

普段は眠っているリンパ球(白血球内の35%)
顆粒球が処理しないウィルスなどの小さな異物を処理した上で、それを記憶してその後の侵略を防御する。また、がん細胞など体内で生まれた異常細胞にも対処する。

●T細胞(B細胞と合わせてリンパ球内の80%)
ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、キラーT細胞に分かれる。ウィルスが侵入するとすぐに現場へとかけつけて連携しながら排除・処理を行う。

●B細胞(T細胞と合わせてリンパ球内の80%)
ペルパーT細胞の指令を受け、ウィルスなどの抗原と反応、その場でウィルスを細胞内に取り込み、その標的ウィルスに抗体を発射させる。年齢や気分には左右されない。

●NK細胞(リンパ球内の20%)

ガン細胞をはじめ毎日のように体内にできる異常細胞を処理し、増殖しないようにする役割を持つ。また、外部からのウィスル感染細胞を攻撃することが分かっている。年齢や生活習慣が影響する~ライフスタイルを見直せば免疫力アップ!

白血球のなかにある免疫の仕組み

白血球のなかの免疫細胞は外部の敵の侵入と戦う顆粒球、身体のなかにできる異常細胞を排除するリンパ球など、それぞれに役割がある。この免疫系続が働かなくなれば、私たちはすぐにウイルスや病原菌に感染、体内のガン細胞の除去ができず、他がどれだけ健康でも生きていることはできない。

免疫はあらゆる病気と関わっている

<これも“免疫”の影響>
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
好中球や顆粒球が細菌などと戦ったり、細菌処理後に自爆したりする際に活性酸素を大量に放出する。これは、その後マクロファージによって無毒化されるのだが、顆粒球が増えすぎたり、過剰反応を起こしたりすと無毒化の働きが追いつかず、自分の身体を攻撃して組織破壊をすすめる。

歯周病歯茎の病気
歯周病は歯の周囲にプラークが付着することで歯を支えている骨を溶かしていく病気で、免疫力が低下していると、症状を引き起こし悪化させる大きな要因となる。虫歯なども、体力が弱っている時に痛みが出るなど免疫機能と密接に関わっている。

<免疫力の低下>
ガン・腫瘍
体内では毎日ガン細胞がつくられ、免疫細胞によって撲滅されている。免疫力が弱まると、ガンの撲滅に対処できなくなる。「NK細胞」がその要。

感染症
インフルエンザなど異物の侵入によって感染・発症。肝炎や胆嚢炎、膀胱炎といった「炎」がつく病気も病原体を攻撃する免疫反応により、各器官に炎症が起こる状態。

慢性疾患
糖尿病や高血圧症など、慢性疾患は全体的な免疫力の低下によって各種器官の代謝や修復作業が効率よく行われず、機能の低下を招く病気。

<免疫機能の異常・不全>
アレルギー
アトピー性皮膚炎、花粉症(アレルギー性鼻炎)、蕁麻疹、食物や薬物アレルギーなど。外部からの刺激で免疫反応が過剰になることで不快な症状が引き起こされる。

自己免疫性疾患
関節リウマチ、膠原病などが代表。外部物質を敵とみなすアレルギーなどに対し、何かしらの原因で体内にある物質を異物と捉え、体内の細胞を攻撃してしまう。

免疫不全
免疫機能が著しく低下する状態。先天性の免疫細胞の異常や未発達のほか、後天性の代表はヒト免疫不全ウィルス(HIV)。司令塔の役割を持つ細胞を選んで感染する。

(TRINITY45号より)