五臓と感情の蜜月な関係 脾のページ
思考と繋がり、消化器系を司る食物の気を吸収する五臓の台所係
肌の張りやむくみも関係する、美の重要器官
いのちの源である食物の消化活動を担当する「脾」は、五臓の台所係と言われ、命をつくる工場でもある。“医食同源”という言葉があるように、古来から中国では食物を薬と同等にとらえ、食物から得る“気”と呼吸と同じくらい大切に考えてきた。脾は「思」の感情と繋がっているため、たとえば片思いや心配事などで、くよくよと思い悩んだり考え込んでいると、食欲をなくしたり消化不良を起こしたり、風邪をひきやすくなり、治りも遅くなってしまう。また、肌肉にも関係しているため、肌が黄色くくすんで張りが悪くなったり、むくみが現れるなど美容にも大きな影響が。
オススメのホリスティックケアとしては、気分転換を心がけ、冷たいものをとらずに胃を温めるなど、胃を労ることが大切。甘味をとることもおすすめだが、過剰な摂取は逆に脾を損なうので、スイーツのやけ喰いなどは禁物である。
脾が司る主なもの
脾が司る器官は、消化器系のほかに水液代謝や、筋肉、口、唇も含まれる。栄養分を吸収する働きを持つため、脾の働きが低下すると、吐き気や食欲不振、口角炎が現れ、食物が摂取できなくなることも。また、筋肉などに影響し、アザや不正出血、たるみも現れやすくなる。季節としては、長夏(土用)に影響を受けやすく、土用には鰻というように、栄養を十分にとって夏バテを避けたい。相生は「肺」で相克は「腎」のため、思い悩み過ぎると、呼吸系や腎の働きを妨げる。
五行=土 脾の基本的な性質。
五腑=胃 脾の働きを補佐する。
五窮=口 脾が所属する感覚器。
五支=唇 脾の精気を発するところ。
五主=肌肉 脾が栄養を補充するところ。
五神=意智 脾の精神の所属するところ。
五季=長夏 季節の外気、脾の病気の主な外因。
五悪=湿 脾に影響を与える気象。
五色=黄 脾を損なうと皮膚が黄色くなる。
五味=甘 脾のバランスが崩れると甘味を欲する。
時間 5~7時
◉かかりやすい病気
●胃腸病 ●食欲異常
●内臓下垂 ●糖尿病
●リウマチ ●肥満
●低血圧 ●気力低下
●不正出血 ●消化不良
●貧血
◉脾の異常サイン
●手足が黄色くなる
●むくみやすい
●よだれがよく出る
●出血しやすい
●食欲異常
●口臭がある
脾に効く! ホリスティックケア
◆食べもの
カボチャや芋類などの根菜系や、蜂蜜、いちじくなど自然の甘味、穀物類や豆類も脾をケアする。
カボチャ
栄養価の高さで、日中両国で昔から重宝されてきた野菜。油と相性が良いので、炒めたり油で揚げると、栄養素の吸収が良くなる。
蜂蜜
身体を温め、お通じを良くする効果が。乾燥を潤す働きも。栄養素を損なわないためには、加熱しないでそのまま摂取を。
はと麦
中国では古来から不老長寿の食材とされている。水分代謝を整え、胃腸の機能をアップ。特に、むくみに効果あり。
◆アロマ
ビターなハーバル系や、甘く重厚で大人っぽいエキゾチック系のアロマで、気分転換を。
●カルダモン ●フェンネル ●タイム
●ペパーミント ●ペチパー ●パチュリ
●キャラウェイ ●キャロットシード
●フランキンセス
◆フラワーエッセンス
思い悩む、落ち込みやすい性質など、いつまでも悩みを引きずってしまう方におすすめ。
●望まない考えが頭の中でぐるぐる回って離れられない〜ホワイトチェストナット
●気落ちしやすい、挫折感を味わうとすぐに立ち直りにくい〜ゲンチアナ
◆ツボ
つい、くよくよ思い悩んでしまう時は、かんたんなツボのケアで気分をリフレッシュ。
足三里(あしさんり)
膝の皿の下にある骨のでた部分から、指1本分外側のくぼみ。ストレスケアのほか、疲労回復やアンチエイジングにも効果あり。
陰陵泉(いんりょうせん)
すねの骨の内側を下からヒザに向かってすりあげ、指が止まったところ。気持ちが楽になるほか、胃の疲れを軽減する効果もある。
(TRINITY44号より)