五臓と感情の蜜月にメス! 心が変われば、内臓も喜ぶ!(1)

東洋医学の五臓と呼ばれる身体の機能は、七つの感情とリンクしている。病気の製造主は感情? 病は気からというが、私たちが日々抱えている感情は一体、肉体にどんな影響を与えているのだろうか。そして、感情から肉体を癒していく方法は?統合医療のエキスパートが心の治療をレクチャー。

東洋医学では、そこからさらに切り込んで一つひとつの感情と身体の五つの機能を当てはめています。

病気の根本はその人の考え方の癖や生活習慣にあると川嶋先生。「私のクリニックでは、初診で24時間どんな生活をしているか細かくチェックします。起きている間だけではないですよ、睡眠中に目が覚めるか? トイレに行くか? 行くなら何回?……。こういった答えのなかに、病気を招く行動とそうさせる心が隠されているんですよね。その心の動きというのは自律神経に作用します。自律神経は、ホルモン系、免疫系、代謝系と関連していく。心が健康に関わっていることは西洋医学でも分かっていること。ただ、東洋医学では、そこからさらに切り込んで一つひとつの感情と身体の五つの機能を当てはめています。肝・心・肺・脾・腎。まず知っていただきたいのは、この五つは単純に肝臓や腎臓の事を直接指しているのはなく、それも含め人間の身体が生きるための機能のことを広く指しているということ。その機能という意味で“感情”も入ってくるわけです

同じ病気を持つ人は、性格が似ていることも多いそう。なぜならそれは身体が病気をつくる仕組みにリンクするから。

患者自身が治療を始める前に、しっかりと死に方・生き方を考えておくべきです。

「たとえば多くの人がストレスを抱えていますよね。ストレスがかかると私たちは交感神経が優位になって、顆粒球を増やします。これが壊れる時に活性酸素を放出して病気がつくられるわけですが、同じストレスがかかった人でも胃潰瘍になってしまう人、アレルギーになる人、腰に来る人などさまざま。ということはこの顆粒球の塊がどこに行くかで何の病気になるか決まるのです」

どこにどんな病気をつくるか。そのコントロールをしているのは、やっぱり自分自身としか言えない。ストレスによってどんな感情を抱くか、自分のなかでどう受け止めるかで健康か病気かの道を分ける。もし、病気になってしまったら、今度はどんな治療をするか、どのくらいかかるのかが心配の種になる。

「けれど、忘れてはいけないのは病を抱えながらも健康に生きる方法はあるということ。日本は、患者は医者に自分の健康を丸投げ、医者は自分の治療方針を押しつけるという傾向があります。けれど、自分自身が、どんな治療をしたいのか、どう生きたいのかをしっかりと決めておかずに、『お任せします』では、特に自由診療では金銭面でも大変危険ですし、ある意味、医者に任せたばかりに寝たきりの状態で長生きさせられてしまうこともある。看病する家族も段々疲弊して、どこかで『早く死んでくれないか』と思い始める。そして、身内の死を願っている自分に気づく。これは酷なことです。

そうならないためにも、患者自身が治療を始める前に、しっかりと死に方・生き方を考えておくべきです。QOD(クオリティ・オブ・デス)を考えることは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げることにつながるんです。余命3カ月、ステージ5の肺がんの患者さんでも、3年、5年と生きる人がいれば、余命宣告通りきっかり3カ月で亡くなる人もいる。その差を生む最後は、やはり感情かもしれません。“こんな風に生きたいんだ”という明確な意思のある人が幸せな人生になると思います」

川嶋先生が伐る! 難病の原因はコレだ!

【副腎皮質ホルモンの分泌促進がステロイド脱却の砦】
さまざまな病気の治療に使われるステロイド。症状を抑えるという意味での効果はあるが、病気の根本治癒にはならない。ステロイドは副腎皮質ホルモンとして体内で分泌されるもの。一度、その機能を体内で取り戻すことに目を向けましょう。副腎はストレスケアを司る場所。まずはライフスタイルの見直しを。

【アレルギーの原因は腸】
花粉症なんかは、実は腸をよくすれば多くの人が治る。子どもはテキメンですね。腸の機能がおかしくなると、免疫のコントロールがうまくいかずに、アレルギーが出てしまうんです。ですから、子どものアレルギーはお腹をよくしてあげればほとんど治ります。大人の場合はここにメンタルが絡みますから、もう少し複雑にはなります。

【若い人のガンは精神病!?】
最近30代40代という若い人のガンも増えている。本来、若い肉体にガンがでるということはあり得ないんです。ガンなんて誰もが日々できて、日々修復を繰り返しています。それをあえて進展させるのは、おそらくご本人が原因と言えるでしょう。私は若い人のガンは精神病だと言っても過言ではないと思っているんです。

 

川嶋 朗先生

東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所 自然医療部門 准教授。気功、ホメオパシーを治療に取り入れた治療を行っている。予約はなんと3年待ち。西洋医学では腎臓病、膠原病、高血圧などが専門。第21回日本統合医療学会 大会長。

(TRINITY44号より)