医師の養生~南雲吉則先生(2)

患者の健康のために奔走する医師の方々。
驚きの若さと意欲を持ち、日々パワフルに診療にあたるドクターたちの養生法。
先生方の24時間&健康ハウツーを大公開!

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ナグモクリニック理事長・総院長
南雲吉則先生

ところで皆さんに質問です!
Q:あと3日の命だったら何をしますか?
余命3ヵ月
余命3年なら

まず、考えてみてください命を宣告された時に本当にやりたかったことを

僕の専門分野はガンの治療なので、患者さんに余命を告げなくてはならないことがあります。ですから、講演でもよく皆さんに質問するのです。「あと3日の命と言われたら、どう生きますか?」と。あと3日間でダイエットしますとか、禁煙します、勉強を始めますなんて言う人はほとんどいません。そんなことを始めても実を結ぶのはずっと先ですよね。3日間で何をしたいかというと、好きなだけお酒を飲んだり、美味しいものを食べたいだけ食べるなど、すべてを忘れて生きたいという方が多いのです。

ところが、あと3カ月の余命だったら? 3カ月間、好きなだけ食べて飲み続けるのは無理ですし、それだけでは空しい気持ちになりますよね。3カ月間は、旅行や温泉に行きたいと仰る方が多いです。

では余命3年と言われたら、3年間ずっと温泉に入り続けますか?または海外旅行を3年も続けたら大変ですよね。そうなると多くの人たちが、今までと変わらない生活を送りたいと仰るのですね。家族との生活や毎日の仕事を続けたいと。

この質問は何を尋ねているかというと、「余命3日」というのは人生の短期目標を意味しています。それはやはり、食べたり、飲んだりという目先の快楽に身をゆだねます。「余命3カ月」は、人生の中期目標。この期間は、非日常に癒しを求めるのです。そして「余命3年」が意味していることは、人生の長期目標、または最終目標なのですね。「3年」を考えた時に、日常生活こそ自分の人生の目標であったことに気づくわけです。

今まで、なぜ汗水流して働かなくちゃならないんだとか、毎日満員電車に揺られて、夜遅くまで働いて、何のための人生だと愚痴をこぼしていた人が、「あと3年の命」と言われて初めて、家族のために今の仕事を続けたいと仰るのですね。すなわち、今の人生こそ、あなたの最終目標だった。それなのに、毎日絶好調で働けるように、あなたは自分の身体をリセットしていましたかというとそうではない。

暴飲暴食をしたり、夜更かしをしたりしていては、仕事で最高のパフォーマンスはできないですよね。それならば家族や会社のためにも、食べる量を抑えたり、お酒や甘いものを控えたりして、一日でも健康的に長生きしたいと思うようになりますよね。その時に初めて自分の健康を意識するようになるのです。

講演で70代の方々に同じ質問をすると、余命でやりたい答えが出てこないことが多いのですが、僕は「ご両親が命を懸けてあなたを守ったように、今度は皆さんが守る番ですよ」と伝えています。若い人たちのために命を懸けて、敵から弾が飛んできたら盾になり、家が火事になれば、子どもを逃がして孫の命を救うために火のなかへ飛び込む、それが皆さんの使命ですよと。そのために、人の介護を受けず、100歳、120歳まで健康で長生きをしていただきたいと思うのです。

A:
あと3日→人生の短期目標
あと3ヵ月→人生の中期目標
あと3年→人生の長期目標

南雲流 若返り4ヵ条

1)有酸素運動
心臓に負担をかけない競歩のウォーキングは、脂肪を燃焼させることができる最高の有酸素運動。
2)低糖質
昼に糖を摂らないことで血液中の糖が不足するため、脂肪を燃焼し、成長ホルモンも分泌される。
3)身体を冷やす
脳内の体温調節中枢に寒さを感知させることで、身体は脂肪を燃焼させて体温を上げようとする。
4)早寝早起
夜10時から2時は深い眠りである「ノンレム睡眠」ができる時間帯。脳が休まり、内臓脂肪も燃焼。

南雲先生の健康24時間ライフスタイル

4:00 起床/朝日を拝んで体内時計をリセット
日光を浴びることで体内の時差ぼけが整えられる。交感神経が優位になり、脳からはセロトニンが出て、仕事モードになる。

朝食は食べずに無糖ガムを噛む
噛むことで唾液が出て、喉の渇きを潤すと共に口腔内を清潔にしてくれる。水分を摂らないことで、顔のむくみも解消される。

起床後の4~5時間は執筆活動
朝の時間は、前日にやり残したことを行ったり、暴飲暴食をリセットするための時間。南雲先生の1日で唯一の自由に使える時間であり、このタイミングで著書の執筆や、講演会の準備を行う。

8:00 通勤/通勤時間はウォーキングで有酸素運動

Walking point1 姿勢

プールサイドのポージングで姿勢を正す
水着になってプールサイドで写真を撮るイメージで、お腹を引っ込めて、胸を張って立つ。

×スマートフォンの“ながら歩き”はリスクだらけ!
携帯を見ながら歩くと、膝が曲がり、背中が丸まって、インナーマッスルを衰えさせてしまう。

Walking point 歩幅とスピード/どんな運動にも勝る!最大の歩幅で早歩き

1週間に27METs の運動量で寝たきりを防ぐことができるといわれる。
1日20分、競歩のように早い勢いで大股に歩くと、約5METsの運動量に。
(※Metabolic equivalents…運動強度の単位。1METsは1時間安静に座っている量)

Walking point 靴とバッグ/かかとの厚いスニーカーで歩く

膝に全体重がかかるので、ヒールだと脚を痛める原因に。かかとや足首を守ってくれるスニーカーが◎。
※バッグはリュックサック。姿勢も真っ直ぐに!
※夏は紫外線を完全シャットアウト
(続く)

(TRINITY49号より)