名医の健康法&アドバイス(5)

連綿と続く知識と最新医学を研鑚し日々、治療に専念しながら揺れる生命と向き合うドクターたちカリスマと呼ばれ病を知り尽くす彼らがセルフケアとして選んだ健康法心と身体のリセットと、病の予防に最高峰のベストメソッドを披露!

スーパードクターがリアルな健康法を直伝!第5弾

久留米大学医学部
神経精神医学 講座 教授
内村直尚先生

久留米大学病院副病院長、久留米大学医学部神経精神医学講座主任教授。日本睡眠学会理事・認定医療施設委員長、日本臨床精神神経薬理学会評議員など。1981年に日本初の睡眠障害専門外来を開設、チームトップとして牽引してきた睡眠障害のエキスパート。睡眠障害だけでなく、精神疾患の名医としても知られており、多数のメディアにも出演

日本初の睡眠障害外来専門Dr.の快眠ライフ

日本における睡眠医療の確立を先導してきた内村先生。睡眠の熟達者であるからこそ、自身も良質な睡眠により健康を保つことを実行している。内村先生が最も留意しているのが、1日周期の生体リズムを整えること。

「脳にある生体時計は25時間で動いています。しかし、地球の自転は24時間。この時差1時間をリセットしないと心身に変調をきたしてしまう。そのために必要なのが、光、食事、運動、コミュニケーション。私は起床後、朝日を浴び、犬とのコミュニケーションを楽しみながら散歩した後、朝食を摂ることで心身や内臓機能を覚醒させています」

そして、昼と夜にメリハリをもたせることで睡眠の質が高まるという。「日中は適度な運動や人とのコミュニケーションを通じて活発に過ごす。それとは反対に、夜間は睡眠を促すメラトニンを抑制してしまう強い光を避け、なるべく照明を落としています」

日中は明るい場所で活動的に、夜はなるべく暗くして静かに過ごす。屋内外問わず夜間も光に溢れる24時間社会の現代でも、生活習慣や環境を人間本来の自然な生活リズムに近づけることが生体リズムを整える近道のよう。また、生体リズムを整えるコツとして、就寝時間が遅くなっても、翌朝は普段通りの時間に起床することが重要なのだとか。

「睡眠は6時間程必要ですが、前日に3時間しか睡眠が取れなくても、翌日に普段通り6時間眠れば自然と睡眠の質が深くなって、元通りに回復するように人間の身体はできています」。睡眠と心身の関係は、美容にも大きく影響する。

睡眠時間が短くなると、摂食ホルモンが増加し、満腹を感じるホルモンが低下します。成長ホルモンや新陳代謝も低下するため、肌荒れの要因にも。日本人で睡眠時間が5時間未満の人は、肥満になるという研究データも出ています」

人生の約4分の1を占める睡眠。その質を高めることが心身の健康を維持し、日常生活を充実したものにするのだ。

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Method1:起床後一番の習慣 朝の光を浴びる

25時間で動く生体時計を24時間にリセットするために最も効果的なのが、起床したら朝日を浴びること。スムーズに脳の覚醒レベルがアップ。ベッドを置く場所や朝食を摂る場所を東側か南側にすると、朝の動きのなかで自然と朝日を浴びることができる

Method2:寝だめをしない 遅寝は2時間まで
休日に長く寝ると生体時計が時差ボケを起こし、体調不良を招く。休日の遅寝は2時間までなら問題なし。1日の睡眠不足は翌日に普段通り睡眠時間をとることで解消できるため、睡眠不足が連続しないようにすることが大切だ

Method3:起床時間を一定に 朝は6時に起きる
一定の時刻に起床することで生体時計は24時間のリズムに整えられる。人間は起床して光を浴びてから15~16時間後に眠気が促されるため、起床時間を一定にすると夜に眠気が生じる時間も一定となって就寝時刻も規則正しくなる

Method4:短時間の仮眠をとる 昼寝前にはコーヒーを

午後2時の前に10~20分の浅い睡眠をとることで、午後からの意欲や集中力が向上。仮眠前にコーヒーなどカフェインを摂取すると、20分で覚醒作用が得られて目覚めが良くなる。内村先生はデスクで快適に休息がとれる専用枕「ナッピー」も開発

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睡眠前のNG
●就寝1時間前からは携帯電話やパソコン、テレビを見ない
●就寝3時間前からはアルコールを摂取しない、寝酒は厳禁
●覚醒作用のあるタバコやコーヒーの摂取を避ける

睡眠前のOK
●ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって副交感神経を優位に
●温かい飲み物で身体を温める
●軽くストレッチをして心身をリラックスさせる

(TRINITY45号より)