体質に合わせて最適なケア法が見つかる!
買える漢方薬と身近な食材で胃スッキリ!
胃の働きは完全にプログラムされており、プログラムが壊れるといろいろな障害が起こる
まずは生活習慣を見直し、体質に合った漢方薬や食材をチェックしよう。
まずは自分の「証(しょう)」を確認しよう
あなたの身体の状態は?
虚証 特徴:やせ型、筋肉質ではない、線が細い、声が小さい、胃腸が弱い、疲れやすい、抵抗力が弱い、お腹の弾力が弱い
中庸 虚証と実証のどちらにも偏らない状態
実証 特徴:がっちり体型、不規則な生活に耐えられる、声が大きい、胃腸が強い、便秘しやすい、抵抗力が強い、お腹に弾力がある
身体に個性があるように胃の働きも人それぞれ
人には持って生まれた体質があり、漢方では、体力の充実度や病気に対する抵抗力の強さなどから3つの証(虚証、中庸、実証)を立てて治療にあたる。証が違えば胃の働きや薬の効き方も異なるため、まずはその人の証を見極めることが大切だと丁宗鐵先生は言う。
「胃痛一つとっても、体質や痛みの原因によって処方する漢方薬やすすめる食材は異なります。また、胃がよく働く時間というのも、その人の食事のサイクルによって身体にプログラムされます。一般的に朝食は7時まで、夕食は19時までに食べ終わるのが理想とされますが、1日2食のほうが身体の調子がいい人だっている。そもそも江戸時代までは1日2食でしたし、虚証の人にはよく見られることです」
プログラムを崩すことが胃の病気のはじまり
先述のように胃の働きには個人差があるが、問題は生活のリズムを崩すことだと丁先生。
「胃は私たちが動かそうと思っても 動かせません。かといって自由気ままに動いているわけではなく、完全にプログラムされています。プログラム通りに動いている時が、一番負荷が少ないのです」。はめを外して深夜まで飲み歩いたり、不規則なシフト勤務などでプログラムが崩れてくると、胃はとたんに不調を訴えはじめる。特に夜遅い食事は胃にとって大きなダメージになる。
「胃に食べ物が残った状態で寝てしまうと、37℃に保たれた胃のなかで食べ物が腐ってしまいます。翌朝、胃もたれしていて食欲もないのは当然のこと。さらに悪いことに、腐ったものが腸に送られ、吸収されると、身体がだるくなったり、強烈な匂いが口臭となって現れます。この匂いは呼気のなかに入っているものなので歯磨きをしてもダメ。つまり、朝起きると胃がもたれていたり、口臭がある時点で病気のはじまりなのです」。
リラックスモード時こそ胃は最大限に働く
人の行動をつかさどる自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経系から成り、胃は腸よりも脳から太い副交感神経の分布がある。「副交感神経は休む神経です。エネルギーを蓄積し、脈拍や血圧も下がってリラックスモードになる。そうすると胃の働きが最大になります」。つまり、夕食は寝る3時間前に終え、食後はできるだけゆったりと過ごして、胃が働きやすい環境をつくることが大切だ。
今回、胃の病気に多く見られる胃痛や食欲不振に効果のある漢方薬と食養を教えていただいた。自分の体質や症状のもとになる原因を考慮した上で、上手に取り入れていきたい。
丁 宗鐡(ていむねてつ)先生
大学入学直後より漢方の大家に師事。現在は日本薬科大学学長、東京女子医科大学特任教授、未病システム学会理事、東亜医学協会理事、百済診療所所長を務める。著書に『最新漢方実用全書』(池田書店)など多数。http://www.kampochiryou.com
新刊『図解 東洋医学のしくみと治療法がわかる本』(ナツメ社)。東洋医学の基本や漢方医学の治療を分かりやすく丁寧に解説した一冊。
(TRINITY48号より)