多くの人の悩みの種である「肩こり」。定期的にマッサージに言っても、なぜ肩こりがなくならないのか、考えたことはありませんか?東洋医学が考える「経絡」というものからわかる、人の身体の仕組みについて解説いたします。
日頃のデスクワークで肩が辛い…。肩が張りすぎて頭痛がする…。
そんな悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか?
あるいは、
肩こりを改善しようと思い、マッサージに通っても改善しない…。マッサージをした時は肩こりが気にならなくなるけれど、またすぐに肩こりが辛くなってしまう…。
という悩みを抱えている人も…。
では、なぜマッサージをするだけで肩こりは改善されないのでしょうか?
本当の肩こりの原因は?
私たち鍼灸師は、肩こりであっても、頭や足に鍼やお灸をすることがあります。
わざわざ遠いところを使って、肩こりを改善させるのには理由があるのです。
実は、「肩こり」であっても、「肩」が原因で症状が出ているとは限りません。
東洋医学では、身体に「気」という生命エネルギーが流れていて、「気」は「経絡」という流れに沿って流れていると考えています。
この「経絡」という流れに滞りができると、滞った部分だけではなく、身体全体に気のアンバランスが生じ、結果として肩こりなどの症状が出てくるというのが東洋医学の考えなのです。
経絡って何?
それでは、経絡とはどんなものなのでしょうか?
例えば、立った状態から、床に落ちたものを取ろうとするとき、自然と身体は床にあるものに身体を向け、落ちたものに向かって手が伸びていくと思います。
最初は手が伸びて、次第に肘が伸び、背中が伸び、腰が伸び、膝が曲がって…と、何か一つの動作をするのに、一カ所だけが動くというのではなく、身体の個々のパーツが「連動」して、結果として全身が動くのがわかると思います。
意識しないとわからないかもしれませんが、身体が意識しなくてもスムーズに動けるのは、東洋医学の考える「経絡」というもののお陰なのです。
しかし、この「経絡」に滞りができると、有る部分はたくさん動き、ある部分はほとんど動かないという、動きに「アンバランス」ができてしまうのです。
結果、一つの部分に負担がかかるようになり、常に働き通しの状態になってしまうのです。
肩こりの原因は「経絡」にある!
肩こりの原因を考えてみましょう。デスクワーク中心の生活をしていると、下半身は固定されたままで動きがなくなるため、上半身と下半身の経絡が連動しなくなり、身体を流れる気が停滞してしまいます。
そのため、下半身の分まで肩が働かなくてはいけなくなり、肩は働き通しになって負担がたまり、結果的に肩こりが慢性化してしまいます。
どうすれば肩こりが改善するのか?
肩こりを解消させようと思った場合、肩をマッサージするだけではなく、下半身の経絡をしっかりと動かしてあげることが大切です。
足がいつも冷えて仕方がないという方は要注意。下半身を流れる経絡が滞っていることが、冷えの原因かもしません。
座った状態でも、こまめに足首をつま先立ち、踵立ちのように、伸ばしたり曲げたりしてみるだけでも、経絡は連動を取り戻し、身体を流れる気のめぐりがよくなります。
「ツボ」という名前を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、ツボは「経穴(けいけつ)」と言い、経絡の流れを改善させるのに効果的な部分があるのですが、ツボは肘から下、膝から下にたくさんあります。
なので、座っていても、肘から下、膝から下を動かしてあげれば、経絡の流れも改善しやすく、身体を流れる気のアンバランスも解消するのです。
肩だけではなく、肘を動かしたり、手首を動かしたり、指をマッサージしたり、足首を回したり。
いつも気になる肩ではない部分も意識して動かしてあげることが大切なのです。
休憩中には、全身の経絡が伸びるように、上半身と一緒に下半身も伸ばすようすると効果はとても高いです。
滞った経絡の流れは、上下に伸びるようにすると改善しやすく、力んで身体を伸ばすのではなく、朝起きたときに気持ちよく伸びをするような気持ちで身体を動かすと、経絡の流れがよくなり、結果として肩こりが気にならない身体になっていきますよ。
普段動きがない経絡を動かし、全身が連動する状態を回復させてあげることが何よりも大切。
肩こりでお悩みなら、肩だけではなく、全身の経絡に目を向けてあげることが大切なのです。
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三上 創(みかみはじめ)
おおくにたま鍼灸院院長
http://ameblo.jp/ookunitamasinkyu
国家資格: はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師
実家が鍼灸院ということもあり、赤ちゃんの頃から、西洋医学にかかることなく、鍼やお灸で身体を整えることが当たり前の生活を送る。
国家資格取得後、奈良県にて藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を送る。
現在、東京都府中市にて「おおくにたま鍼灸院」を開業。「健康の自給自足」をスローガンに、通い続けて健康になる鍼灸院ではなく、自分の健康を自分で創る方法を指導する鍼灸院を運営する。