免疫力を上げる三種の神器~血~(6)

アプローチはどこからでもOK!
心身増強のポイントは3つ、心・腸・血をケアして免疫力を活性

免疫の三本柱。一番気になるところはどこ? 「不調の場所から」「実践できるところから」。始める順序にルールはナシ。何か一つ始めたら、相乗効果で免疫は確実に高まっていく!

血~免疫細胞や温度を運び、全身の機能に影響

血液に含まれる白血球は、身体の免疫システムそのもの。血液は、酸素や食物から吸収された栄養、免疫細胞、そして温度を全身へと送る役割を持つ。この生命維持にとっても、免疫力アップに関しても必要不可欠な血めぐり(血液循環)を低下させる大きな要因が“冷え”。

『冷え』は、文明が生んだ最たる症状です」そう語るのは東京女子医大准教授川嶋朗先生。昭和32年の平均体温は36・9度だったとか。現在の人は、36度前半あればいい方で、今回「本気で冷えを治す!」企画で行った冷え取り体験の協力者たちは、みんな35度台という低体温だった。

「冷蔵庫ができたのはここ最近のこと。元来人間には、冷たいものを食べるという習慣がなく、今のようにエレベーターや車もないので、何にせよ身体を動かしていた。筋肉は使わないと衰えていきますが、身体にとって重要な発熱器官ですからね。

今は運動をほとんどせずに生活ができ、冷蔵庫からいつでも冷たいものを食べられるという便利な時代になったと同時に、本来持つ、人としての機能を使わなくなってしまったんです。ですから、しっかり意識して生活していくことが第一歩です」

冷えはまさに現代病。これを改善するだけで免疫アップだけでなく、さまざまな不調からも解放される!

体温が1度下がれば免疫30%ダウン!!
心も身体も本気で 冷え を治す!

身体や心が冷えている状態は代謝や免疫などの機能も停下中しかし同時にあらゆる病気の始まりへと繋がっていくのだ今すぐ0.1度でも体温アップ!

 お話を伺った方
●川嶋朗先生

東京女子医科学大附属青山自然医療研究所クリニック所長。西洋医学と気功やホメオパシーなどの代替医療の両方を取り入れた治療を実践するカリスマドクター。

●大島櫻彩先生
ナチュロパシー・クリニーク代表。アロマを始めとした植物療法、栄養医学、サイマティクス療法など幅広く行い、体調不良に悩む方々のケアを行っている。

冷えは死体に近づくこと!? 免疫力、ホルモン合成など細胞の生命力を奪う元凶。
「よく、冷たいジュースを口のなかで常温にしてから飲み込むから大丈夫、と言っている人がいますが、口に入った段階で脳が冷たいものを認識して、腸の血管をギュンと縮めます。だから、意味がないんですよね」。自身が監修を務める“血めぐり研究会”という活動を行うなど、冷えが万病の元になると警告を発信し続けている川嶋朗先生。

そもそも、なぜ冷えているといけないのか? 「冷えているということは、死に近いということ。冷えていると体内で必要なものがつくれないんです。たとえば、脳の司令塔であるセロトニンを始め、さまざまなホルモンや神経伝達物質を合成しようと思っても、うまく働いてくれなくなります。精神的な問題にはこういった物質が深く関わっていますから、身体のなかがうまく働かないと心の方にも影響が出る。ストレスは血管を収縮させて全身の血巡りを悪化させます。そうしてまた、体内のホルモン合成がうまくできなくなるという悪循環が起きるのです

代謝が落ち太りやすい身体になる、免疫力が低下し病を招くなどの要因となりかねない冷え。まずはその仕組みをもっと探ってみよう。

「免疫力は、白血球の“遊走能”といって、白血球が血管のなかから外側へとどれくらい抜けていくのかで図る方法があり、体温が1度下がることでそれが3割下がると言われていますから免疫力30%ダウンです。代謝も12~20%下がる。そして活性酸素を中和するSODを始めとした酵素も生成・活性されません。遺伝子を修復するのも酵素の力。遺伝子は毎日100万回のアタックを受けますが、酵素がそれを日々修復するわけです。毎日3~5千のガンができては免疫細胞が働いてつぶしてというのが繰り広げられていますが、それができなくなるので、冷えるということはそれだけでガンやうつ病、不妊などの危険因子なのです」

 

とにかく徹底的に温める
不快を取り除き慢性“温”BODYにシフト

では冷えを改善するにはどうすればいいのか? 「とにかく温めることから始めましょう」と川嶋先生。ナチュロパスとしてハーブ療法や栄養学のアドバイスを行う大島櫻彩さんは、「基礎体温が低い人は、たんぱく質の量が少ない場合があります。それとお風呂はやはりしっかり湯船につかること。一時的にでも体温がぐっと上がるとホルモンバランスが整います」とアドバイス。目指すは「朝起きたときの体温が36度を超えていること」(川嶋先生)。そんな温活をさっそく始めよう。

温めPoint.1

1)拍動に触れる場所
手首、足首など脈が打つ場所は外気に触れるとダイレクトに冷えるので、露出させないようにケアしておく

2)筋肉の多いところ
筋肉や太い血管が走っている部分は、血流量が多いのでピンポイントで温めるのに効率的。太もも、腰周り、二の腕など

冷えは万病のもと

~病気になるメカニズム~
低体温→血流が滞る→十分な栄養が届かない→正常な働きができなくなり、代謝が鈍る→毒素が身体中に溜まる→さまざまな不調・病気が発生

~冷えから来る病気~
肝臓疾患、腎臓病、糖尿病、動脈硬化、高脂血症、アトピーなど各種アレルギー、膠原病、不妊、喘息、がん、うつ

冷えを高めるNG行為

1)冷たい食事は内臓を直冷却!
冷たい食事や飲み物が習慣化していたら今すぐSTOP! 免疫アップを目指すなら、野菜も、腸の元気にもつながる食物繊維をたくさん摂れて、冷えない温野菜にするのがベター。

2)運動不足~筋肉は身体の自家発電機
寒いとますます動くのが億劫になる人も多いが、身体を動かしているとポカポカ温かくなるように、筋肉や運動は熱の自家発電になる。激しい必要はないので効率よく鍛えておこう。

3)太ももを出す~生足ミニスカは冷えの大敵
上記の通り、筋肉が多い太ももは血管が豊富なので温めの絶好ポイント。ゆえに、寒い時期に生足で露出するのは冷えの絶好ポイントにもなる。女性生殖器に近いので特に注意。

4)朝シャワー~シャワーでは温まらない
朝は一番体温の低い時間。そのときに、一時的に温まった感じがするだけのシャワーは避けた方が無難。その後寒い外へ出ると、一気に冷えが加速してしまい、さらに辛い冷えを呼ぶ。

(TRINITY45号より)